大阪家庭裁判所 昭和47年(家)10522号 審判 1972年2月22日
申立人 黒沢美喜子(仮名) 昭四六・一二・一七生
右法定代理人親権者 黒沢雄一(仮名) 外一名
主文
届出錯誤につき、本籍大阪府池田市○○○丁目○○○番地筆頭者黒沢雄一の戸籍中、同籍美喜子の氏名欄に「美喜子」とあるを「美知子」に訂正することを許可する。
理由
申立人は、申立の趣旨として、申立人の名「美喜子」を「美知子」に変更することの許可を求め、申立の実情として、申立人の母は出産のため大阪にもどつて昭和四六年一二月一七日申立人を分娩したが、東京で勤務中の申立人の父は、申立人の名を美知子と命名して電話で連絡してきたところ、申立人の祖母はこれを聞き誤つて美喜子と命名されたものとして受取り、同月二三日この旨の出生届(届出人名義黒沢雄一)を代行してなした次第であり、このため戸籍上「美喜子」と記載されるに至つたと述べた。
本件の調査結果によると、上記の申立の実情記載の事実が認められるほか、更に、申立人の父の勤務先への届出は「美知子」で一切なされており、申立人の母も申立人の名を「美知子」と命名することにつき異存のないことが認められる。これによると、申立人の戸籍上の名「美喜子」は届出の錯誤によるものであつて、真実は「美知子」と記載されるべきであつたこと明白である。しかして、本件申立は形式的には名の変更許可申立となつているが、実質的には戸籍訂正許可申立であると解することができるのである。
よつて、本件申立を正当として認容することとし、戸籍法一一三条の規定により主文のとおり審判する。
(家事審判官 福島敏男)